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ブルネイ初の長編・女性監督映画『ドラゴンガール』が面白いよって話

「この映画!ブルネイの!ぜひ行ってください、おねがいします!!」

先日ブルネイの友人からこんなメッセージが届いた。どうやら『ドラゴン・ガール』という映画が「FUN!FUN! ASIAN CINEMA」という国際交流基金の企画で無料上映するらしい。

ブルネイ映画?…そういえば見たことないな。

ん?上映後は本作監督シティ・カマルディン氏によるトークセッションも?しかもこの方、ブルネイ初の女性監督&ブルネイ初の国際的長編映画の監督なの?!ヤバイ…これは期待高まる!!

ってことで…『ドラゴン・ガール』上映会、行ってきちゃいました♪

目次
1)ドラゴンガールとは

2)実際に映画を見てみてのレビュー(ネタバレあり)

3)上映会でのこぼれ話・まとめ

1)『ドラゴン・ガール』とは

映画見るときって、本編も良いけど…予告編も楽しかったりしません?私、映画の予告編、見るの好きなんで映画館早めに入る派です笑。

ってことで、まずは『ドラゴン・ガール』予告編をどうぞ!

いやー、やっぱいいですよね、予告編。高まる!

では、ここから改めて

『ドラゴン・ガール』とは何ぞや?

を語らせてもらいますね。

原題『Yasmine』、邦題『ドラゴン・ガール』

ブルネイで2014年に製作・公開され人気を博し、国際進出したブルネイ初の長編映画です。スイスのヌシャルテル国際ファンタスティク映画祭では受賞もしています。

その原題であるヤスミン(Yasmine)という女子高生が主人公で物語は展開されます。主役・ヤスミンを演じるのは、リヤーナ・ヤス(Liyana Yus)、本作が演技初挑戦となるオーディションで選ばれた素人のブルネイ人です。

映画の中核を担うのは、シラット(silat)と呼ばれる東南アジアの伝統武術

気になるストーリー

今やブルネイ若手のホープとしてシラットで活躍する初恋の彼にお近づきになりたくて、ヤスミンがシラットを始めるところから始まる。動機は不純かもしれない。でも、強くなりたい気持ちは誰にも負けない。父親に反対されながらもシラットへ夢中になっていく。笑いあり、涙あり、アクションあり。ヤスミンがシラットを通じて成長していくヒューマンハートフルストーリー。初恋、友情、家族愛・・を描いた映画の王道を行く物語です。

あの人も出演!

主人公の女子高生ヤスミンの可愛さは勿論、インドネシアの「トム・クルーズ」とも呼ばれる父親役の俳優レザ・ラハディアン(Reza Rahadian)の演技も見逃せない。映画の中でブルネイの女子高生のリアルな生活や家庭での様子なども伺え、日本ではなかなか知ることのできないブルネイについて知るにもオススメの一作。

 



2)実際に映画を見てみてのレビュー(ネタバレあり)


ここからネタバレありですうう。読みたくない方はスットバシテ→(3)上映会でのこぼれ話・まとめへどうぞおお。

じゃあレビュー(ネタバレあり)行くよ!

はい、まず一言目。

主人公ヤスミンがマジで可愛かった

私思わずインスタフォローしてしまいました。色白で悪ガキ感満載で、そして笑顔が本当にカワイイ。映画の中では結構ぶっ飛んだ高飛車なキャラだったからアレだけど、実際現実に居たらモテまくりに違いない。沢尻エリカ様みたいな可愛さがあります。

イケメンもたくさんだよ!

そしてイケメンも出てきますね。父親役のレザ・ラハディアン(インドネシアのトム・クルーズ)は勿論だけど、初恋の彼とか、同じシラット部の男の子アディとか!

残念ながら作中では彼はヤスミンのことをちょっと気になってるそぶりはあったものの、ヤスミンは眼中になかったみたいだったのが切ない。

みんないいキャラしてる!

そしてこれまた同じシラット部のちょっとおデブちゃんな女の子、ナディアが良い味だしてた。彼女も演技初挑戦というんだから驚き。

ヤスミン・アディ・ナディアの3人を率いるシラット部の顧問の先生のダメ男ぶりもシュールで笑えて良いアクセント。ベタなんだけど、ああいうのいいよねってなる。

こういうのわかるわー

家庭でのヤスミンは、本当に自由気ままな一人娘って感じで、お父さんを悩ませて、お父さんはいろいろがんばるんだけど空回りってところもあるあるだなあ。



さりげないブルネイPRも忘れない!

お父さんが知恵を絞った結果、コーランの家庭教師をつけるってところがなんともイスラム教国家のブルネイらしいよね。

劇中でこの親子の相談相手はおばあちゃんになるわけだけど、このおばあちゃんが出してくるお茶菓子なるものがブルネイ郷土料理アンブヤットってところでも、ぬかりないブルネイPRが伺えていい感じ。

移動のシーンではオールドモスクもニューモスクも映るし、ヤスミンと初恋の彼が電話越しに歌ってた音楽もザ・ブルネイの音楽だったし。お父さんの職場である図書館はブルネイ大学(UBD)の図書館だったり。ブルネイCMの役割も果たそうとしている映画なんだと思う。

流行りの兆し?

映像がきれいでとても良かったし、ブルネイ行ったことある人なら恋しくなる・帰りたくなる映画。行ったことない人なら行ってみたくなる映画。

肝心のシラットだけど、この映画がもうちょい流行れば日本でも、韓国のテコンドーとかタイのムエタイみたいに、男性には勿論、女性の間で護身術とかエクササイズ的に流行るんではないかなー。

個人的にアツイ注目ポイント

そして!これは完全に自分的注目ポイントだけど!言語!!まさに「ブルネイ語」!あ、ここでいうブルネイ語=マレー語x英語ね!本当にブルネイならではのマレー語と英語が50:50でどんどんスイッチして入れ替わっていって聞くだけども楽しい、ブルネイ感を味わえる映画だったなああ。(※筆者はマレー語専攻なので高まり度がやばかったです。※今回見たのは日本語字幕つきです、この翻訳の仕方もなるほどねーあーこういうふうにカットするのねーと為になりました。めっちゃ個人話。)



3)上映会でのこぼれ話・まとめ

(写真:向かって左がシティ・カマルディン監督。右は通訳の方)

今回のお楽しみの一つ!それは…

上映後、監督のトークセッションがアツイ!

これまた興味深かったので感想を。まず、今回『ドラゴン・ガール』の監督を務めたシティ・カマルディンさんは、ブルネイで放送作家やったり、オーディション番組の司会やったり、しまいには制作会社を立ち上げちゃったりと、なんだかすごいひとでした。

監督はハンパなかった。

聞いてると、とにかくシティ・カマルディン監督の行動力、ハンパない!

写真でみてわかるように、ファッションからもうすでに攻めてってるよね。ブルネイ行ったとき、ここまで奇抜なブルネイ人見なかったので正直驚きが笑。でもホント気さくな監督さんで、Q&Aセッションではじゃんじゃん質問に回答してくれてました。

監督の伝えたかったこと

本映画を通じての監督からのメッセージは、「たとえ不純な動機であったとしても、何か達成したいことがあったらそれを通して人はどんどん成長していく、プロセスが大切だし、そういうことって現実でもあるよね」とのことで映画を見た後に聞くと納得。

撮影の裏話

主演のヤスミン、そして主人公と同じシラット部で後にヤスミンの親友ともなったナディアの2人は今回が演技初挑戦だったそうで、オーディションで選ばれた素人の二人。シラットも学校の体育の授業ではあるものの、本格的な経験はなく、1年ほどかけてトレーニングしたんだとか。

ブルネイの映画界隈事情

ここで興味深かったのは、ブルネイには演技指導をしたりする事務所や映画を製作する学校がないって話。なので、監督自身が役者さんたちに直接演技指導をしたそう。1年ほど朝昼と付きっ切りで役者さんに演技指導をし、夜はシラットの道場なるようなところへ通ってもらって役作りをしてもらったんだとか。どんな映画を作るにだってそうかもしれないけど、こういう裏話を聞くと改めて1人1人凄い努力があって映画が作られたんだなーと感じた。



あのシラットは?

劇中でのシラットだけど、これは映画での特別バージョンなんだとか。というのも、シラットは大きく2種類に分かれてて、1つはコンバット系として、もう1つは型として。劇中では明らかに戦ったりしてるから、コンバット系?と思いきや、本来コンバット系は危険を伴うので防具を使用しているとのこと、しかし映画ではビジュアル面で良くない(亀みたいになる、という言い方を監督はしていたw)ということから、防具はあまり使用せずに撮影しているとのことで、オリジナルシラット的なものになっているんだとか。

そもそもなんでシラットを題材に?

監督自身が学校に通っていたころシラットは体育で必須の種目だった、にも関わらずリサーチで最近、国内の学校を訪問してみると空手部やテコンドー部があるのにシラット部がないということがあった、また、何か国王を祝う際にシラットをやっても家族や競技関係者しか見に来ない、ブルネイ国内でシラットは「ダサイもの」になってきてしまってるんではないか?国技でもあるシラットをまた盛り上げ「カッコイイもの」にするにはどうしたらいいか?ということで映画の題材に持ってきたのだという。

『ドラゴン・ガール』がブルネイ初の国際的長編映画になったワケ

ほかにも、監督の作品がブルネイ初の長編映画になった要因として、ブルネイでは業界として映画がない、撮る気がない人が多いのではないか、人材や技術が限られているのが原因ではないか、インフラが不十分なのが原因ではないか、などなどお話しされていました。監督自身もこの映画を作るのに、お金集めなど何年も準備したそうで。ブルネイの映画界の厳しさを改めて分かり。

シティ・カマルディン監督、良い人だった!

トークセッションは短い時間だったけど、監督の人柄の良さが溢れ出ていて、あっという間の時間でした。次回作はまだ発表はできないけど、時代劇を考えているそうで、これも楽しみです。

『ドラゴン・ガール』もう一度改めて見たいなあ

けどなかなか外で見れる機会がなさそうなので、DVD買おうかなーと悩み中。amazonにあった↓のを発見。この記事通して見たくなった方も是非チェックしてみてくださいませ。よければ一緒に語り合いましょう笑。